砂漠の王と拾われ花嫁
* * * * * *



アクバールは衣装棚の中、カシミールはベッドの下で時が来るのを待っていた。



静かに扉が開いた。



来たのか!?



アクバールとカシミールは息をひそめた。



タヒールらしき人物が莉世のベッドの横に立つ。



ベッドの下で息を潜めているカシミールは皮ひもで編まれた足元が見えた。



「殺すには惜しいほど美しい娘だ」



タヒールの声が2人の耳に入った。



タヒールの背後にある衣装棚から見ていたアクバールはタヒールが何かを取り出したのがわかった。



まだだ・・・もう少し・・・。


何を手にしたのか分からない。



本当に短剣を取り出したのではなかったら逃げられてしまうだろう。



アクバールはカシミールに出す合図を待った。



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