音楽バカ
「この部の外部指導を任された河合 遙ハルカです。
みなさん、よろしくお願いします。」
遙は軽く頭を下げた。
女子勢はわぁっと湧いているが、菅波と石橋をぬいた11人の男子勢は下倉を筆頭にテンションがた落ちである。
「何か訊きたいことがあれば」
「はい!」
遙が言い終わる前に被せたのは、「外部指導は男ですか?」と鼻息を荒くしていた2年生の女子の鈴木だ。
「遙さんは彼女いますか?」
「お前はまた余計なことを…」
菅波は思わず鈴木をにらんだ。鈴木は見えてませんという顔をして遙を見つめる。
「すいません…」
伺うように遙を見るが、特に気を悪くした様子はない。
「いえ、大丈夫ですよ。
なんか中学生の頃を思い出します。」
と菅波に笑いかけた。
「彼女はいません。
俺なんかにはできませんよ。」
「はい!有力候補になります!」
先ほどの女子が手を挙げた。これを見た周りの女子は競って手を挙げ始めた。
「はいはい!あたしも!」
「えー、ずるーい!
じゃあ、あたしも!!」
女子と反比例して男子は完全に萎えている。さすがにまずいなと感じた菅波が止めに入った。
「わかった、わかったからやめろって。」
止められた女子は不満そうだが、遙は相変わらず笑っている。
「遙さん、吹奏楽の経験は?」
下の名前で呼ぶんだ?という下倉の微妙な心境をよそに、希良は純粋に思ったことを訊いた。
「中学・高校は吹奏楽部でした。
パートはフルートです。」
「大学で専攻してるのもやっぱフルートですか?」
次に口を開いたのは石橋だ。
「いえ、指揮科です。」
「どれくらい周期で来られますか?」
菅波は心配そうに訊いた。
「週一で発表前は+αかな。」
今まで自分たちだけでやってきた希良たちにとって、週一でも大きな変化である。