音楽バカ
―バンッ
希良はドアを思い切り開けて、思い切り閉めた。
「えっ、何……」
3人は案の定、驚いている。
「ここで何してんの?」
「…。」
黙った。
重苦しい沈黙が続く。
「あんたとあんたはこの前石橋に怒られたばっかでしょ?」
半べそをかいていたのは彼女だ。その横にいるのが、同調した奴。下を向いたまま返事をしない。
それから、と視線を変えた。
「田尾、あんたいつからサボれるくらいクラリネットうまくなったの?」
冷たく重みのある声を心がける。怯めば負けだ。
「…すいませんでした。」
明らかに思っていないが、恐らく面倒くさいのだろう。田尾はふてくされた声で呟いた。
「質問に答えてよ。」
見下ろした希良の視線に悪びれもせず、怯みもしない。田尾は悪気なく淡々と言った。
「かっこいいことがしたいんスよ。」
「は?」
「必死こいてみんなでプープーやってんのはダサいじゃないスか。」
「…。」
「コンクールはいや。
でも遙さんがいるから部活は行きたいし…。
だから、適当にそこら辺やっとくんでほっといていいですよ?」
もう言葉も何も出なかった。
猶予を与える必要はないな。そう判断すると希良はつかつかと後輩たちの方に歩み寄った。
「な、なんスか…?」
「…。」