音楽バカ
「始めましょうか。」
遙は指揮棒を持った。
「とりあえず、一度通しましょう。」
「「はい!」」
シンと空気が静まる。
演奏が始まった。
曲は[July seventh nignt]
通称・たなばた。
この曲は希良のお気に入りでノリでやってみようと言って取り寄せたは良いものの、結局途中で挫折した曲だ。
さすがに譜読みという段階ではない。
音のキレ・抑揚、色味などのテクニックの調整段階だ。
希良は頭の中を空にして演奏した。
少しでも他のことを考えるのを止められるように。
ところが、
いつもはやらかさないところでリードミスをした。
そこからは最悪だった。
久しぶりだったせいも
あるだろうか?
いや、
今までの自分なら
あり得ないミスを
連発させていった。
気がつくと
遙は指揮棒をおろしていた。