音楽バカ

しぶしぶ教室に移る。
4階の音楽室から離れた2階の教室まで、譜面台と楽器を持って行った。

「…また負けちゃったんですか、先輩。」

歩美は楽器を組み立てながら言った。

「るさいな。はよ楽器出せ。」

結局、冷房のきいた部屋が取れたのは石橋のトランペットパートと菅波のパーカッションパートだった。

クラリネットパートは希良と歩美、それにあと2人加え、全部で4人だ。
この部では人数が多い方のパートである。

「じゃ、B-durのロングトーンいきます。」

「「はい!」」

「1、2、3、4、」

うまくなりたいなら怠ってはならないのがロングトーン。

テクニックを磨く前に音色を磨く方が先である。

希良の部では8拍吹いて4拍休む形を取っている。

吹いている8拍間は、息を均等にかつたくさん楽器に吹き込む。

休みの4拍のうち、3で息を吐いて4で息を吸うのが理想的なロングトーンだ。

実際、頭でわかっていても実践するのはなかなか大変である。

「やっぱりアレだなぁ…
 もっとたっぷりと息を入れてみよう。」

「「はい!」」
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