音楽バカ
「え?あぁ、違う違う。」
希良はそう言って手を左右にぶんぶん振った。
「ほら、美音が合唱部だからさっ。」
「あぁ、合唱部の話か。」
「う、うん。」
危ない危ない…
少し油断した。
クーラーがきいているはずの室内なのに急に顔が火照った。
「あ、合唱部みっけ。」
さっきから外を眺めていた下倉が言った。
その一言をきっかけにわらわらと窓際に部員が集いだした。
「先輩、どこいるんすか?」
「ん?舞台袖だよ。
そろそろ出番じゃね?」
現在時刻、午後3時50分。
合唱部の出番は4時、
吹奏楽部の出番は5時だ。
「ここの窓開かねーからたぶんここじゃ合唱聴こえねーよ?」
石橋は希良に言った。
「んん…じゃ外行ってくる。」
希良は数人の女子部員としぶしぶ外に出た。それを見ていた他の部員もわらわらと希良の後ろをついてきた。その大半は合唱目当てというよりも浴衣目当てだろう。
「暑゙ィ……。」
夕方とはいえ、まだまだ暑い。
うだりながら木の陰までたどり着いた。