音楽バカ

「え?あぁ、違う違う。」

希良はそう言って手を左右にぶんぶん振った。

「ほら、美音が合唱部だからさっ。」

「あぁ、合唱部の話か。」

「う、うん。」

危ない危ない…

少し油断した。
クーラーがきいているはずの室内なのに急に顔が火照った。

「あ、合唱部みっけ。」

さっきから外を眺めていた下倉が言った。
その一言をきっかけにわらわらと窓際に部員が集いだした。

「先輩、どこいるんすか?」

「ん?舞台袖だよ。
 そろそろ出番じゃね?」

現在時刻、午後3時50分。
合唱部の出番は4時、
吹奏楽部の出番は5時だ。

「ここの窓開かねーからたぶんここじゃ合唱聴こえねーよ?」

石橋は希良に言った。

「んん…じゃ外行ってくる。」

希良は数人の女子部員としぶしぶ外に出た。それを見ていた他の部員もわらわらと希良の後ろをついてきた。その大半は合唱目当てというよりも浴衣目当てだろう。


「暑゙ィ……。」

夕方とはいえ、まだまだ暑い。
うだりながら木の陰までたどり着いた。
< 63 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop