旦那様は高校教師


俺は競技の邪魔にならない所へほたるを連れて移動し、体操服や手足に付いた砂を払った。



どうやら其の時点で、俺は冷静さを失っていたらしい。



もう周りの事なんか、見えなくなっていた。



「先生、有り難う…。大丈夫だから」



ほたるは俺に背を向け、其の場を離れようとする。



でも俺は、其の手を放せない。



ほたるの腰に手を回し、救護テントまで連れて行った。



傷口に消毒をされると、ほたるは涙目になる。



おっ…可愛いすぎ…。



余りの可愛さに俺は赤面しそうになり、首に巻いたタオルをほたるに被せる。



「まだ痛むか?」



手当てが終わり、ガーゼにそっと触れてみる。



「少し痛いけど、大丈夫…」



ほたるは俺の首にタオルを架けながら、そう答えた。





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