同居ゲーム
「あるかもな。
だって、俺らだって今超ベタな暮らししてんじゃん?」


「あ〜、確かに。
『もうッ、央なんか知らないッ!』とかヒステリックに叫んで、それを追い掛ける央。
とかいう展開もありそう。」



そんなの嫌だ、と央は顔をしかめる。



自分で言っておいて何だが、あたしもお断りだ。



「でもドラマとかではそういう展開多いよな。」


「うん。
きっと女の子の追い掛けてきて欲しいっていう願望が反映されてるんだよ。」


「追い掛けてきて欲しいのか?」


「だからあたしは嫌だって。
ていうか、喧嘩して飛び出してるのに、追い掛けて来られてもイラッとするよ。
追い掛けてくる方も、素直に追いかけられないでしょ。」


「確かに。
俺なら玄関の鍵締めとくな。」



あははっと豪快に笑って、央は手で鍵を締める仕草をしてみせた。



「何してんの?」



と、そこにコーラの缶を持った美喜さんがやってきた。



「あ、美喜さんもテレビ観る?」


「テレビぃ〜?」



言いつつ、美喜はあたしの隣に座る。



ところが、さすがに狭かったらしい。



立ち上がった美喜さんが央に向かってシッシッと手を振って言った。



「央、あんた降りな。」


「え"っ!?」


「隣のほうのソファーに座ればいいでしょ。」



嫌だよ〜、と央はあたしの後ろに隠れた。



「あっちのソファーは横向かなきゃテレビ見れないじゃん。」



ここは6人が住んでいるから、ソファーはテレビの真正面に一つ、その両側に一つずつ並んでいる。



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