SEASON
千明が見当たらないのに気がついたけどその時はあまり気にせずにあたしはカバンのところへ行った。

カバンからコールドスプレーを取り出し、ゴツいサポーターの狭い間に吹き込む。

ゲームやってる最中は夢中で気にならないけど集中が切れた途端、血液が波打つように一気に痛みが襲ってくる。

何度も経験した痛み。

慣れることはない。

でも、3人の前では痛い素振りは見せないよう心がけた。

心配させたくないし、この痛みを取ってくれるわけでもない。

そこまであたしに構ってほしいとは思わない。

でも、痛いものは痛い。

その時、突然頭にポン、と手を置かれた。

「やっぱ足痛いんとちゃうか?」

「うっ…わぁ。千明行きなりこないでよ、びっくりするじゃん」

「ん?すまんすまん。で、足痛いんやないか?」

話を反らそうとしたけど呆気なく千明に戻され再度同じことを千明は口にする。

「足、痛いんやないか?」

「……痛くないと言えば嘘になるかな?」

あたしの負けです。

千明って意外にしつこい。

さっきも同じ質問3回続けてだし。

「それを痛いゆーんや」

あたしの頭をクシャ、となぜ千明は隣に座る。

ちょうど陽生と風幸が1ON1やってるのが見える。
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