SEASON
とても嬉しそうで幸せそうな顔をして扉の前で人前なのも気にせず抱擁している。

「千明のやつ、高倉にぞっこんだな。一途もいいところだ」

隣で苦笑しながら2人を見つめるカジさん。

「千明って意外に一途だったんですね」

「ホント、意外だよなぁ。外見あんなんなのによ」

「ですよね。あんなにチャラそうに見えるのに…」

初めて見た時は軽い人だな、お近きたくないなぁとか思ってたけど実際はそんなこと全然なくてちょっと拍子抜けした事を覚えてる。

「わい、そんなチャラ男に見えんのか?」

あたしたちの会話を聞いていたみたいで彼女さんを連れて千明がやってきた。

その顔はちょっと拗ねたように見えるけど、顔がすごく緩んでいた。

隣に彼女さんがいるからなんだな。

「心、紹介するわ。コイツが新しく加わったギターの捺未や」

「あ、えっと…栗原捺未です」

軽く会釈すると彼女さんはにこり、と優しく笑ってくれた。

「んで、こっちがさっき言うてたようにわいの彼女の心や」

「高倉心です。捺未ちゃんのことはちーから色々と聞いてるわ。よろしくね」
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