シークレットラブ



こうしてメールを繰り返し、待ち合わせ場所はサン・ルーズに決まった。




壱也と初めて出会った場所…そう思うと、なんだか笑えてきた。




「何笑ってんの?」




パソコンとにらめっこしてた壱也が、疲れたようにこめかみをおさえて言った。



「壱也と初めて会った時のこと、思い出してたの。」



「あぁ…」




そう言うと、壱也も懐かしむように微笑んだ。




「あ、壱也、これから涼子さんに会いに行って来ていい?」




「母さんに?別にいいけど、どこまで?」




「サン・ルーズまで。すぐそこだから、車とかボディーガードとかいらないから。」




納得いかないような感じの壱也だったけど、見ないふりをした。




「じゃあ行ってきまーす!」




そのまま秘書室を飛び出して、エレベーターに乗って、会社を出た。




サン・ルーズは会社から道路をはさんですぐそばにあり、急ぎ足でお店の中に入った。




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