one.real

『最近周り見りゃどっかにお前いるから久しぶりな気しないんだよな』


空いたカップをソーサーに戻して、潤が口元だけで笑った。

潤の言葉に思わず言葉に詰まる。

意味が分からなかった訳じゃなくて、不思議で。


少し下がった眉からも、潤が“俺”の事で戸惑ってるのが分かって、


なんで?

って気持ちになる。


責めるような感じじゃなくて、何を戸惑うの?って純粋な疑問。


どうしてお前がそんなこと思うんだよって。そういう意味で。


この世界に浸かれば浸かるほど、お前が、総兄が、アイツが、俺から離れてってるって不安なのは俺の方なのに。

瞬きして見てる俺が潤の中でどんなふうに映ってるのかは分かんないけど、なんかホッとしてしまう。


< 37 / 107 >

この作品をシェア

pagetop