one.real
あながち嘘じゃないとか?
若干眉を下げる俺を見た椎名さんは一瞬眉を寄せて考えたあと、すぐに笑った。
『なーに勘違いしてんのよ、そんなんじゃないから安心なさい』
『なんだ…』
『アンタの仕事に関する事では無いわ』
良かった…
つーか逆にわざわざ社長に言われる話なんて、仕事以外に何がある?
ゆっくりと動きが止まるエレベーター。ポン、と音がした。
開いたドアを押さえながら、椎名さんは言った。
『――まぁでも…杉原碧杜自身に、関する事ではあるけれど』
この時は俺も、まさかあんな提案をされるなんて、思ってもみなかったんだ。