私の中の眠れるワタシ

憧れ




信じられない事に、あれほど皆に話すと騒ぎ立てていたソウタだったが、部活で私と付き合っている事を、隠し通していた。

私も、彼と踊りたかったから好都合だ。

ソウタは、別れた彼女を傷つけないため、そしてイチヤの事も気遣かってか、噂になる事を恐れ、部活では私と全く口をきかなかった。

もしかしたらただ、このまま早くカップルが決まり、踊る時間をも私と共に過ごし、イチヤの時にあったような、少しの時間的な自由すら、与えない気だっただけかもしれない。


私もまた、それを強く望み、彼と組む事で身も心も一つになり、他を寄せ付けない圧倒的な技術とムードを作りあげたかった。


冬になり、とうとう卒業まで踊るパートナーが決まった。

私の思惑どおり、ソウタと私はカップルとして発表される。

一組ずつ名前を読み上げられ、中央に出る。

カップルは、向かい合わせに立ち、整列していく。




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