私の中の眠れるワタシ

野球の試合が始まる時のように、私たちの学年が全員出揃い、カップルの発表が終わると、

「よろしくお願いします。」

と、一礼をする。

ソウタは、私の正面に立ち、ガラにもなくテレていた。

部活の練習場というこの空間で、しばらく私達は全くの他人を続けてきたから、どのように振る舞っていいかわからないという感じで、笑顔になってしまうのを必死にこらえるあまり、怒ったような表情を作っている。


……カワイイ。

迂闊にも、そう思ってしまった。


イチヤは、ソウタがパートナー選びの際、二者択一で私と迷っていた千晶と組んだ。

千晶は勝つ事より、パートナーと仲良く楽しく、穏やかに練習する道を選んだようだ。

イチヤなら、きっと彼女とうまくやれる。
イチヤもまた、部員の男子が皆、候補に入れていた千晶と組めて嬉しそうだった。

ガッツポーズを作り、ふざけて後輩達にみせて

「オレの部活人生、捨てたもんじゃないぜ〜!」

と、喜びをあらわにしていた。



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