私の中の眠れるワタシ

いつものクセで、気が大きくなってくる。

今まであまり、話した事もなかったのに、甘えた口調で話したりしてしまう。

「蜜って、結構面白いんだね〜!俺、楽しくなっちゃった!!」

その言葉を聞いて、ふざけて私も肩にしなだれかかり、

「明日にはまた、いつものダンスバカに戻って、鏡の自分と話します。」

と言ったら、彼はそのまま私の肩に手をまわした。

「俺の彼女の話だけど。」

ああ、忘れてた。元々どうでもいい話なので、聞いても聞かなくてもよかった。

「はい。そうでしたね。」

「俺に彼女がいたら、困る?」

「別に関係ないですけどね。」

「関係ない?ホントに?」

「はい。全然。」

じゃあ、と立ち上がった。

会計に向かう彼に、私は黙って着いていく。

二人合わせても、五千円しなかった。
かなり飲み食いしたけど、飲み放題だったからかもしれない。
会計は谷田さんが全て払い、私の手をにぎった。


< 272 / 433 >

この作品をシェア

pagetop