私の中の眠れるワタシ

それでもワタシは、谷田さんが帰ってきたらと、淡い期待を持ち続けていた。

なにもなかったように二人はまた踊り、ワタシもソウタと今度こそきちんと向き合いたい、そうできたらと、思っていた。

きっかけが、必要だった。
もうセツナさんが変わる方法はそれしかないと勝手に思ってた。


ワタシは、彼女に視線を向ける事なく、だけどいつも心は目で追うことを繰り返した。


ワタシが皆に付けた傷を、ワタシでは癒やせない事が現実。




−−いつの間にかソウタは他に、女を作っていた。

彼は片思いをやめたかったんだろう。その気持ちは痛いほどわかる。


オートリードの香りが、千晶からした。

彼女にも、とってもよく似合う。



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