私の中の眠れるワタシ
「こんにちは。」
また来た!と言う様子で、店員達が嶺に微笑みかける。
「チーフ、よく来ますね、あの人。」
小声でそう言う佐原に、
「気にしないで、在庫整理してちょうだい。」
と言って私は嶺に近寄る。
「……あのね。困るわ。
私は仕事中なの。それとも、今日こそ何かお買い物?」
「お買い物しようか、考え中。ね、今日何時に終わるの?」
呆れている私を気にとめる事もなく、
「俺、待ってるからさ、必ず来てよ。話したいことあるんだ。」
と続けた。
−−今日で、はっきりさせておこう。ずっとこのままじゃ困る。
私は、8時と告げると彼は近くのカフェにいるからと言って、小さなミニチュアのフレグランスを一つ手にすると、会計をして帰った。