私の中の眠れるワタシ
彼は、講習でただ居合わせただけの私に、あれこれと自分の事を話した。
自分は、保育士であったがベビーマッサージに興味を持ち、資格をとるため勉強している事。
アロマテラピーはマッサージを学ぶうちに、必要性を感じて始めた事。
将来は独立して、家族が皆で訪れる事ができる、マッサージルームを開設したい事など。
彼はまだ若かった。
だから、私はその話にヨコヤリを入れる事はせずに黙って聞いていた。
彼の降りる駅が近付くと、
「なんか、一人でしゃべってばかりですいません。」
と、照れて笑った。
私は最近、自分のこれからに夢を持つことを忘れていたので、そんな彼の話をほほえましく思い、
「私こそ、自分の事何も話さなくてごめんなさい。私は、長崎 蜜です。明日からもよろしくお願いします。」
と、名乗った。
慌てて彼も、
「僕も、名前も言わずにすいません。真野 明彦です。では、失礼します。お疲れ様でした。」
と、電車をおりた。
その背中に、つい何かを残してやりたくなるような、乱暴な欲求にかられるワタシは。
ドアが閉まると、消えた。