私の中の眠れるワタシ

研修は最終日を迎え、私はシンノさんと何事もないまま。
また元の会社の仕事に忙殺されてしまう事を覚悟した。


彼は優しそうな人だったが、皆にそうだった。


私は、多少期待していた自分を恥ずかしく思い、冷静さを取り戻そうと研修の休憩時間には店舗に電話を入れた。

新商品のフレグランスのカタログに目を通したりしたのは、忙しそうに振る舞いたかったから。


終礼が終わると、この数週間で皆、それぞれ気のあった者を見つけて飲みに行く約束をしていた。

私は誰とも特別親しくはならず、合コンの時の感じ悪さを醸し出していたから、声がかからないのは、当たり前に感じた。

今日も化粧室でキャバレーをふりかけたら、私は会社に向かおうと思う。

報告は、明日でも良いと言われていたけど。

この時間にまっすぐ自宅に戻る事が、私の日常をさらに『孤独』という感情によって暗くさせるようで、会社に向かわずにはいられなかった。



< 340 / 433 >

この作品をシェア

pagetop