私の中の眠れるワタシ

彼は、先日と同じように、自分の事を話し出した。

私は、聞き漏らすまいとするけど、心はウラハラに、遠くから私達二人を眺めているような感じだった。


二人の並んで歩くバランス。ムード。
そういうものが他から見てどうなのか?

……そんな事ばかり、気になった。


彼はビールを頼み、私はジントニックを頼む。

「結構、強いほうでしたか?」

私はしおらしく、

「あんまり飲めませんよ」

と、にこやかに答えた。


彼は、自分が二十四歳で三十歳までには夢を実現したいと語った。


……私は二十四歳の終わりにレイと知り合い、今は二十七歳でこうして一人でなんの目的もなく生きてる。

それを思い知らされると、彼との差が絶望的に埋まらないような思いを感じた。



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