君との期待値

「前も言ったけど
代わりとかじゃなくて、今は誰とも付き合う気がないだけだ」



「そうやって、また嘘をつくんですね」



少女の声が少しだけ小さくなる。



「先輩の好きな人くらい分かります。
ずっと見てきましたから。
先輩が本当のこと言わないから私は諦めきれません」



「……」



沈黙が流れる。



拓真、やっぱり好きな子がいたんだ。



あの時の言葉は本当だったんだ。



「悪いけど……」



ようやく拓真が口を開く。



「俺に好きな人がいたとしても君には教えないし、いなくても君とはつき合えない。
……だから、ごめん」



その答えは肯定でもあり否定でもある。



どうして拓真は好きな人がいるとかいないとかはっきり言わないんだろう?



< 130 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop