君との期待値

「来たんなら起こしてよね。
昨日は拓真が来なかったら一晩中学校で寝てるところだったんだから」



「自業自得だろ」



ハッと見下したように鼻で笑う。



うがー。そういう問題じゃないのに。



赤羽くんは私に背を向けて植物に水を与え始めた。



その様子を私はただ見ている。



珍しい。



赤羽くんが自分から仕事してるよ。



どういう風の吹き回し?


彼が話さなくなったので、自然と私も口を閉じる。



そよそよ、風が吹く。



園芸部の庭園は、いつも気持ちいい風が吹いてる。



座ってると、昨日のように眠くなる。



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