俺のココ、あいてるけど。
 
コーヒーカップの中に映る自分の顔も、情けないを通り越してかなりひどい顔だった。

こんな顔でお客様の前に立っていたなんて・・・・公私を分けられない自分がさらに情けない。


「はぁぁ〜・・・・」


誰もいないことをいいことに、特大のため息をつきながらテーブルに突っ伏した。

テレビはCMに切り替わったようで、今放送中のドラマやパチンコ店のCMがつらつら流れている。


パチンコはもともと興味がないけど、ドラマは昔から好きだった。

特に恋愛ドラマが好きで、いつも“こんな恋がしたいな”と画面の中のストーリーに憧れていた。

でも今はどんなに好きな俳優さんが演じていても観る気が起きず。

世間の波に乗り遅れてしまった。


「はぁぁ〜・・・・」


もう一度、特大のため息をつく。

CMが開けてエンディングに入ればあたしの休憩も終わる。

それまであと少しだけ・・・・こうしていてもいいよね。



そうして、テレビに顔を背ける形で音だけを聞いていると・・・・。

ガチャ。

誰かがドアノブを回した。
 

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