俺のココ、あいてるけど。
 
「笑っちゃうなぁ・・・・」


カラン。


そうつぶやいて、あたしはまだ口をつけていなかったコーヒーに角砂糖を落とした。

ただで飲めるコーヒーを飲まずに店を出るのはもったいない・・・・なんていう変な意地がなぜか出てしまった。

貧乏根性丸出しじゃん・・・・。


「はぁ──・・」


もう一度ため息をついて、あたしは涙を拭きながら窓の外を見た。

すると、そこには・・・・。





今さっきあたしを振ったばかりの恵介が、見たことのない女の子と腕を組んで歩いている姿が。

道路を挟んだ向こう側で、華やかな服に身をまとった女の子とニコニコ笑い合う恵介の姿があった。


「二股だったのかぁ・・・・」


二股をかけられていたことにも気づかなかったんだ、あたし。

いつからそうだったのか、今ざっと思い起こしてみても見当もつかない。

それくらいあたしは恵介に夢中だったってこと・・・・?

やっぱりちょっと笑っちゃう。


その姿に、あたしはもうこれで恵介への想いが完全になくなったのを感じた。
 

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