不思議な家のアリス
―ガチャ
考え込んで立ち尽くしていると、隣の部屋のドアが開いた。
「あ、おはよ。」
その部屋の主は、圭吾さん。
髪はまだセットされていないけど、スーツに身を纏っている所を見ると、これからご出勤のようだ。
「おはようございます。ご飯出来てますよ。」
「おぉ、今日炊事当番か?ありがとな。」
…朝から爽やかな笑顔をくれるこの人も、私とは違う世界の人。
そう考えたら、私とこの人達が一緒に住んでいる事が、凄く不思議に思えてきた。
勿論、始めからそうだったけど…それ以上に。
―バンッ
乱暴に二部屋のドアを開け、「おーい!起きろー!飯ー!」と叫んでから圭吾さんは一階に下りて行った。
私もその後に続く―。
――居間に入り、料理を軽く暖め直していると、ドアが開いた。
「朝飯早くねー?まだ8時だぞー。」
ぶーたれながら入って来たのは勇志君。
「俺こんな朝っぱらから飯食いたくねぇよ」
それに続き、秋夜。
「…コーヒー。」
最後に、まだ眠たそうな黒木くん。