不思議な家のアリス
「春は?」
「夢の中ー。」
私が聞くと、トーストをかじりながら秋夜が答えた。
まだ寝てるんだυ
「黒木くん、コーヒーブラックで良い?」
「ん、砂糖とミルクいっぱい。」
"砂糖とミルクいっぱい"…って…あんた可愛すぎるよ!
ご要望通りに砂糖とミルクを山盛り入れて黒木くんの前に置く。
それでもまだ甘さが足りなかったらしく、砂糖を足している。
甘党とか、凄い意外。
「ご馳走さん。んじゃお休みー」
食べ終わった勇志君と秋夜がドアを開けてリビングを出た。
「まだ寝るの!?υ」
私の声は届かなかったらしく、トントン…と階段を上る音だけが聞こえた。
「んじゃ、俺ももう行くわ。クロ、美波ちゃんの事よろしくな。」
私の事…よろしくな?
何を勝手によろしくしちゃってるの?
「行ってきます。」
「あ、行ってらっしゃい。」
疑問を巡らす私をよそに、圭吾さんはさっさと準備して出ていってしまった。
居間には、黒木くんと私、二人きり。
「あ、あの。ホントに私からじゃないから!あなたに無理矢理…」
さっきは誤解を解ききれなかったから、リベンジ。