不思議な家のアリス


―バンッ



「腹減ったー。」


意味が分からず固まっていると、乱暴にドアを開けて勇志くんが居間に入ってきた。

またパンツ一丁で。


この人には服を着るという文化が無いらしい。



「おぉ、ナイスタイミングだな勇志。バーベキューすんぞバーベキュー。

M子を買い出し行かせんから、お前荷物持ちで着いてけ。」



偉そうに言う秋夜。


そんな態度で勇志くんが頷くハズがない…と思っていたら。


予想に反して、勇志くんは少し困った様に笑いながら「あぁ。」と頷いた。




「私今カレー作ってんだけど!?」


無駄だと分かりつつも、もう一度言ってみる。



「カレーは明日食えば良いだろ。ほら行くぞ。」



必死に抗議するも、強引に手を引っ張られて外へ連れ出されてしまった。




早足でスタスタと歩く勇志くん。


「ちょ、ちょっと待って!私カレーを…」


ようやく私の手を握る力が柔らんできたので、振りほどいて抗議する。


「良いんだよ、あいつがカレー見てバーベキューしたいって言う時は、良いんだ。」




何それ?


カレー見てバーベキューをする事に一体何の意味があるって言うの?υ


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