不思議な家のアリス


それでも何だか意味ありげに薄く笑う勇志くんの横顔に、私は何も言えなくなってしまった。



良く分からないがカレーを見てバーベキューする事には、何か意味がある様子だったから。









―スーパーは徒歩五分の場所にあった。



でっかい図体して、勇志くんが"カートを押したい"何て子供みたいな事を言うので、その役目は彼に任せて私は商品を見て回った。




お肉を適当に見繕って、カゴに入れ、ピーマン以外の野菜を選ぶ。


野菜をカゴに入れると勇志くんが元あった所に戻してしまうので、カートの中はまだ一つも野菜が入っていない。

どうやら彼は野菜ぎらいらしい。





「今日は秋夜にあんま近寄らねぇ方が良いぞ。」




またカゴに入った人参を戻しながら、勇志くんが突然口を開いた。




「?何で?」

「カレー見てバーベキューしたいって言ったから。」

「答えになってないんだけどυ」




ふぅ、とため息を吐いて呆れて見せると、勇志くんもため息を吐いた。

ちょっと困った様に。




「お前、秋夜の妹に似てんだよ。」



私が秋夜の妹に―?



「…秋夜って妹居るの!?」


< 62 / 68 >

この作品をシェア

pagetop