今日の・・・
「どうしたらいいですか?」
「やっぱり引越した方がいいと思います。この人だけならまだしも、一人いたらきっと何か違うものも来ると思います。もともと寂しい気持ちを多く持った霊ですから、何か悪いものが近寄ってくるのもそう先ではない気がします」
「でも、主人が・・・」
「ねぇ、何でご主人にはなにも見えないの?」
千秋ちゃんが不思議そうに言った。
「僕もお化けにあったことないよ」
翔君がお菓子を食べながら言った。
「え、翔君、そうなの?普通、こう言うのって子供が一番最初に気付きそうやない?敏感って言うし・・・」
「まぁ、そりゃ、霊感の差はあるんだろうけど・・・」
私もちょっと考え込んでしまった。
「そうなんです、皆に見えたら話も早いんですけど、何しろ、私だけなもので」
恵子さんは困ったように呟いた。その言葉で、私はこの男の魂胆がわかった。
「あ、わかった、それや、それ」
「どれよ!」
千秋ちゃんに突っ込まれた。
「奥さんにしか見えない。旦那さんはもともと信じる人でもないし、翔君にも見えてない、奥さんしか見えない非科学的なもの。そんなこと言われたって、の世界やもんね」
「なんかよくわからんのやけど?」
「夫婦喧嘩、増えたでしょ?」
「あ、はい。やっぱりどうしても・・・。何で見えないの?気のせいだ!何が気に入らないのか!ってそんないたちごっこが増えました」
「とことん暗いねん、このおじさん。回りくどいけど、そうやって恵子さんたちの夫婦仲が悪くなって喧嘩して、別れちゃえばいいと思ってますね、それが目的になってる。目的って言うか、ささやかな楽しみ?」
「暗っ!!」

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