グレフルフレーバー
なんて事ない
 中学からの延長で、和也は当たり前のようにバスケ部に入部する事にした。

和也がこの高校を選んだのも、県内ではそこそこバスケが強い高校だからだ。

和也が入部届を持ってバスケ部を訪ねると、クラスで一番背の高い彼が一足先に来ていた。

彼の名前は坂崎敏男。

短く刈った髪をツンツンに逆立てて、もみあげを少し伸ばしている。身長の高さだけでも十分威圧感があるのに、雰囲気からもちょっと一歩引いてしまう。

和也は一瞬戸惑ったが、そこで踵を返して出て行っては、何となく負けのような気がして、ぐっと踏みとどまって、中に入った。

敏男は和也の顔を見ると、微かに笑って会釈した。意外に良いヤツなのかも…と和也はホッとして会釈を返した。
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