ホワイトデーの復讐
「コイツ、結構黒い」
『黒い?』
「これ撮ったダチも、被害者」
『チョコ貰ったの?』
「ん。で、食って病院送り。なんか知らねぇけど、男に告りまくって、フラれたら毒チョコ配んの。俺のクラスの大半が殺られた。逆に15日に俺が出席してたことに、コイツがびっくりしてたくらい」
『マジッスか』
なんか……すっごい子だな。
「で、ここで提案」
『えっ?』
「“毒チョコ被害者の会”ってのをダチが作ったんだよ。ホワイトデーに仕返ししてやろうって」
仕返しって……それはちょっと。
『いくらなんでも、それはダメだよ』
「なんで」
否定的な言葉を発するあたしに、彰は眉間にシワを寄せた。
『だって…毒盛るくらい、彼女は好きだったんだよ。彰が』
ちょっと歪んでたかもしれないけど、それはすべて、彰が好きだったからこそ起こした行動でしょ?
「っはあ…お前、なんでそう…お人好しなワケ?」
思いっきりため息をついて、肩を落とす彰。
「お前、腹こわしたじゃん。3日も入院したじゃん。全部アイツのせいだぜ?」
『わかってるよ。でもいくらなんでも……』
続けようとしたあたしの肩を彰がドンッと押した。
ドサリ、と背中がソファーに沈んで、視界が反転した。
目の前には整った顔。その後ろには白い天井。
あ、まーた押し倒されてる。