恋するシンデレラ









優斗が保健室を出て少ししてから、わざわざ遠回りをして会議室に向かう。


一緒に行くのが気まずいから。





もちろん、私は嬉しいけど。


好きな子がいる優斗からしたら、迷惑なのは目に見えてる。



だから、わざと。









静かに会議室のドアを開けると、自主練タイムだったみたいで。

踊ってる子もいれば、台詞練習をしてる子もいた。



ドアを閉めると、皆が私に気付く。









「あ!

奈々、大丈夫なの?」

「具合悪かったら休んでいいんだからね?」

「西塔、練習できんのか?」

「無理すんなよ。」



皆の優しさに鼻がツーンとした。

体調管理もできない私なのに・・・。




「大丈夫。

ありがと。」



皆が嬉しそうに笑うと、優斗が窓を開ける。


かすかな風が、教室に吹き込んだ。





「よし!

通し稽古しよう。」


達哉君の声で準備に取り掛かる。




具合悪かった私は、外の空気を吸って少し落ち着いた。



袖を捲くり台本を持ったあいつの背中に、

ありがとうと心の中で呟いた。






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