恋するシンデレラ







「・・・え?」



優斗が少し素っ頓狂な声を出す。

汗が一つ、頬を伝った。


照り付ける太陽のせいで、顔を上げられない。






ちょうどタイミングよく、車が来てくれて、


『ばいばい。』と、顔を見ずに乗り込んだ。



優斗の顔は、一度も見ることができなかった。




車のドアを閉めると、クーラーで熱い頬が少しずつ冷やされる。

車が発進するなかで、お母さんが静かに口を開いた。





「なにかあった?」





いつもは怒ってばっかりのお母さんだけど、その優しい声に、私の涙は止まらなくなる。


優斗が好きで。

大好きで。



だけど、思いは届かなくて・・・・・・。






あ、違う。

私が届けられないだけか。








「さっきの男の子、王子役の子?」


曲の再生ボタンを押しながら、さりげなく聞いてくる。





声を出すことができずに頷くと、ミラー越しに『なるほどね。』と、呟いた。







何も言えなかったけど、お母さんはまるで全てを理解したかのように見えた。

私の大好きなCDをかけてくれて、

『泣いてもいい。

けど、後悔しないようにね。』と、言ってくれる。









後悔しないように、か。


もう、数え切れないくらいしてるよなぁ。




優斗を見ると、どうしても意地はっちゃうから。



可愛くないって、思われてるんだろーな・・・。





真っ青な空に、たった一つだけ浮かぶ雲を見て、静かに涙を零した。


























もうすぐ、私の魔法がとける。












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