天使への判決
俺達は10人位が楽に座れそうなボックス席に通された。
するとすぐに、香水の臭いをたっぷり染み込ませた女達がやってくる。
「どうもーミワで〜す」
「アキで〜す」
「サチで〜す」
髪を丁寧に巻いた、派手な女達。
そして席に着くなり、あれやこれやと質問を繰り返す。
その質問のターゲットとなるのは『この場を仕切る人間ー』つまり『金を出す人間』なのだ。
「何のお仕事されてるんですか?」
「金融関係だ」
組以外の『シマ』で呑む時は仕事がバレると、トラブルの原因となるため、俺は隠す事にしている。
「何歳ですか?」
「26」
「今日は何件目ですか?」
「……」
(見合いかよ…)
俺はどうもこの手の女達が苦手だ。
若い衆と呑みに行った時、気に入る女がいないと、自分は無口になり、最後に若い衆に女を抱かせてやる事にしている。