天使への判決

声の方に目をやると、別のボックス席で店の女と客の男が睨み合っている。


「ここはそういう店じゃないの!そんなに触りたいならソープでも行けば!?」

「何だとコラァ!」


「ソープに行けって言ってんのよ!あんたなら熟女がたっぷり触らせてくれるわよ!」



周りの呆気に取られた視線を気にもせず、必要以上に女はまくし立てる。

駆け寄った店長の制止も振り払う勢いだ。


(面白い女だ…)


しばらくやり取りに聞き耳を立てていると、

「ちょっと、ケンジさんあの男、中山組の下の者ですよ」


弟分のナオキが俺の耳元で囁いた。

男の方に目をやると、確かにそこにいたのは、うちの組の傘下にある中山組のチンピラだった。




< 38 / 328 >

この作品をシェア

pagetop