天使への判決
声の方に目をやると、別のボックス席で店の女と客の男が睨み合っている。
「ここはそういう店じゃないの!そんなに触りたいならソープでも行けば!?」
「何だとコラァ!」
「ソープに行けって言ってんのよ!あんたなら熟女がたっぷり触らせてくれるわよ!」
周りの呆気に取られた視線を気にもせず、必要以上に女はまくし立てる。
駆け寄った店長の制止も振り払う勢いだ。
(面白い女だ…)
しばらくやり取りに聞き耳を立てていると、
「ちょっと、ケンジさんあの男、中山組の下の者ですよ」
弟分のナオキが俺の耳元で囁いた。
男の方に目をやると、確かにそこにいたのは、うちの組の傘下にある中山組のチンピラだった。