天使への判決
女の顔が見たいという、興味半分で俺はそのボックス席に近づいた。
「おい、酒がまずくなる。その辺にしとけ。」
「ああ?」
俺の声に反応して中山組のチンピラが睨みを効かせるものの、俺に気がつくとすぐ目を泳がせた。
俺はケンカが強いという噂だけで、この業界ではちょっとした有名人だ。
「お前、よそのシマで騒がしいぞ
なあ、姉ちゃん」
……。
女の顔を見て、一瞬時間が止まった。
何ていい女だ…
水商売独特のケバさは無く、ナチュラルメイクにも関わらず、色白の肌に大きな瞳。
白のワンピースドレスが、清純な印象を醸し出している。
本当に、今まで怒鳴り散らしていた女と同一人物か……?