そして海の思い出を胸に
「本気で怒ったりすると、言葉遣い変わるのな」
「そんな事、どうだっていいから、早く鍵を返して」
涼さんは私の目の前で、鍵をちらつかせる。
私は取ろうとするけど、取れない。
「俺さ、理由も分かんないで美雪に無視されるのって、ここにグサッて来るんだぜ」
と言って、涼さんは自分の胸を親指で差す。
「いいから、鍵ー! 早くー、返して」
「俺って惚れてる子に、つい意地悪しちゃうんだよねぇ」
「冗談言ってないで、鍵返して」
「冗談っ?!」
涼さんは怒った感じで聞き返した。