そして海の思い出を胸に
と、そこに隙が出来て、鍵を持ってた手が緩む。
私はそこから鍵を奪い取ると、カバンを持ってプールのすぐ隣りの体育館へと走って向かおうとした。
でも。
2、3m走っただけで、すぐ涼さんに手首を掴まれて進めなくなる。
「離してよっ!」
私の訴えを完全に無視して、涼さんは無理矢理、私の肩を掴んで自分の方に向ける。
「何が冗談だって?」
そのセリフで涼さんの顔を見ると、マジに怒っているようだった。
今までに見たことの無い表情に、ドキッ、として、私は思わず顔をそらす。