そして海の思い出を胸に
フッ、とそんな風に笑った気配がして視線を涼さんに戻すと、涼さんは苦笑いをしていた。
そして、私の肩から手が離れる。
「あのさ」
そう言うと涼さんはさっきと違って、最初に出会った時に見せてくれた、包み込むような優しい笑顔をした。
それから上を向いて、ハァ、と一息ついた後、また私の目を真っ直ぐ見た。
「冗談に聞こえるかもしれないけど、俺、いつでもマジなんだぜ。
美雪に惚れた、って事もね」
私はその目に堪えられなくなって、目をそらした。
だって。
僚二と同じ目をしているんだもん。