そして海の思い出を胸に

この人は一体、幾つの顔を持っているのかしら?

つい、クスッ、と笑ってしまう。



コロコロ表情が変わるところは、僚二と違うなぁ。



そう思ってから、ハッ、とする。



……わ、た、し……今……なんて、思った?



「おっ、残念。お迎えが来ちゃったようだぜ」

私が呆然としていると、そう言って涼さんはいつもみたいに、親指で私の後ろの方を差した。

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