死神彼女

結愛

「ほら」


ことん。


目の前に置かれたのは…美味しそうなオムライス。

さっきあたしが作ろうとしたオムライスとは全くの別物のようだ。


「あ、ありがとう…ございます」


「…ん」


彼…いや、空はそう小さく返事をするとあたしの向かいの席に腰を降ろした。


「いただきますっ」


パクッ!


……口の中でとろける柔らかでかつ絶妙な甘さの卵。


…深みのあるチキンライス。

す…っごく…


「美味しいですッ」


思わずニコニコするあたしに空は呆れたような顔をしてスプーンを運んでいる。


「つか死神も飯食うんだ」


「へ…はい。死神って言ってもベースはただの人間ですから」



……。会話終了。


それからはただ沈黙の時間が過ぎていく。



気まずい……。

こんなんであと一週間も一緒に暮らせるのかな?

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