死神彼女
結愛
「あたし、あなたの魂を回収しにきた、死神です」
そうにこやかに言った直後、バタン!と扉が閉められた。
え…、え??
なんで?!
慌てて扉をドンドン叩く。
「なんで、閉めるんですかっ?あの、開けて下さいっっ」
最初が肝心だと思って、笑顔で言ったのがいけなかったのかな…。
いや、それよりも、きっとあたしの言った事を信じていないからだろう。
「……帰れ」
扉の向こうから低くかすれた声が聞こえた。
あきらかに、俺、怒ってるんだぜ?ゴラ!って感じである。
「あのっっお話だけでも…聞いて下さいっ」
あぁ…っどうしよう。
初っぱなから失敗しちゃった?
やっぱり最初から打ち明けるべきじゃなかったんだ。
扉の向こうからは物音さえ聞こえてこない。
とりあえず、話、聞いてもらわなきゃ!
「篠原空さんっ!!、あたし…のお話聞いて下さいっっ」
必死に大声で叫んでみる。
………。
返答、なし。
ホントどうしよう…っ。
「は、はくしゅん!!」
さ、寒い~っ!
雨の中を歩いて来たのでいくら春だと言っても寒い。
このままだとあたしの方が寒さで死んでしまう…と思った時、ゆっくり扉が開いた。