切なさに似て…
あの人がお父さんを手に入れてから1年。私は10歳になり、レナは4歳になった。


お父さんが仕事で遅くなる日はたいてい、あの人は夜遅くまで家を空けるようになった。

今となっては本当に仕事で帰りが遅かったのかさえ、前科があるだけ謎に包まれてるけれど。

あの人はあの人で、めかし込んで出かけるところを見ると、“新しい男”のところだろう。

私にそう思わせるのには、その条件が満たし過ぎていた。


“お母さん”のくせに母親らしいことは何ひとつ、して貰ったことがないのは隠しようもない事実で。


小学校で必要な教材も。

スキー学習のバス代も。

給食費に、筆記用具も。

何一つ払ってはくれなかった。


そのことがお父さんに発覚しても、謝罪どころか態度を翻し急変した。


『自分の子供でもないのに、やってられないわよ』


だからって、悲しくはなかったし、悔しくもなかった。

そもそも、私はこの女を“お母さん”とは認めてなかったんだから。
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