切なさに似て…
*****

ただ、寒かったことが記憶に残っていた猛吹雪のあの日。

いつものように一緒に帰るんだと思い込んでいた私に、たたき付けられた現実。


私の先を歩く2人。信浩と、もう1人は同じクラスの女子。

手を繋ぎ、まるで互いの触れ合う体温を分け合うみたいにして校門をくぐり抜けた。


…あの2人って、いつから仲良くなってたの。

…あの2人って、いつからそういう関係なの。


そんな素振り見せなかったじゃん。

一言も言ってくれないなんて、水臭くない?

それとも、私には話す必要ないとか?


荒れ狂う吹雪の中、真っ白に隠された視界の向こう側に消えて行く2人は、どうみても幸せそうに見えた。


あの隣にいるのは私だと思っていたから。

その横にいて笑うのは私だって…。


『待ってよっ!!』

どんなに、心の中で叫んでも、信浩には届かなくて。


ねぇ…?なんで?


私の足は鉛の様に重たくて、歩行だけを忘れたかのように、一歩も踏み出すことが出来なくなっていた。


塀の上の雪だるまは、降りしきる深い雪の中へと消えた。
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