切なさに似て…
カチンッ。

輝くシルバーのジッポが音を鳴らす。


ジュポッ…。

布団を被っていても、煙が鼻の奥にまで届く。


理解しているのに。尚も、私は信浩から離れられないでいる。


イニシャルのキーホルダーの次は、同じスニーカー。

その次が、割れたからって、コーヒーカップだったっけ。


お揃いが増えれば増える程、優越感が増していく。

“彼女”よりも、“友達”という立場の方が勝っていると。


秤にかけてみても、友達である私の方が遥かに中身は重たいはず。

但しそれは、私に与えられた“自由と孤独な日”、以外に限定されていることだった。



…たまに、がんじがらめに閉じられた蓋を、無性に開けたくなる。
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