切なさに似て…
「…彼氏は納得してくれたの?」

「えー、納得なんてしてませんでしたけどー。別れたくなったんだから仕方ないですよー。好きじゃなくなったのに付き合ってても、時間の無駄だし」

自分から聞いたくせに、へぇー。と、適当に返事を返す。

彼女の言うことがわからなくもない。


「好きじゃなくなった以外に別れる理由なんてないですよねー。デートしてくれるってことはー…、脈ありってことですよね!?」

「…かもね」

ボタンにリボンを引っ掛け、着替えを終えた私に笑って言った。目許を緩ませて見せると、白崎さんは口を大きく開け無邪気に喜んだ。


…好きじゃなくなった以外に。そっか…。

早々に彼、一弥から別れを告げられるんだろうな。


1年かぁ…。

案外、長かったかもなぁ。きちんと話ができるかどうか…。


彼女の話す通り、気のない女の誘いを承諾はしないはずだ。

“彼女”が存在する男なら、たいていそんな誘いには乗らないし、誘わない。


常識が備わっている人なら…。
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