切なさに似て…
毎週土曜日、私に会いにそして愛を届けに来た伸宏。


私の体を引き寄せ、耳元で囁く低い声。

『ずっとこうしたかった…』

『愛してるっ…』


言葉に含まれる乱れた息遣い。

私の頭を、自分の広い胸板に押さえ付けて。


自分の指に私の髪を絡める。

すーっと意識が誘われるスカルプの香り。


その口調に。

その仕草に。

その香りに。


溺れそうになる意識に、私は取り憑かれてしまった。

大人は身勝手な生き物だと十分過ぎる程、身に染みていたはずなのに。


何に惑わされたのか、どんなに考えても未だかって解明されることはない。


本当に、『ずっとこうしたかった』のか。

本当に、『愛してた』のか。


聞かななくたってそれは理解できるのに。
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