切なさに似て…
自分の借りた部屋に帰りたくなくて、気づけばあの赤茶色のタイルが貼られたマンションに足が向かっていた。


…ねぇ、なんで?

私じゃなかったの…?


塀に積もった雪で作った雪だるまは。

あの冬、誰かが作った手の平サイズの雪だるまとそっくりで、悲しげに見上げていた。


『何してんだよ…』

背後から現れた信浩は、私の姿を見た途端に眉を情けなく下げた。


その信浩の表情で、マンションの前に立ち尽くしていた私が、どんな顔をしていたかすぐに読み取れた。

…そんなに辛そうかな。


『…ずっといたのか?』


ずっと…?

…わからない。


信浩の問いに、私は首を横に振った。

かじかんだ私の冷たくなった手が、ゴツゴツしたものに包まれた。


『冷たっ…』

信浩の手にギュッと握られた私の手は、あまりに暖かくて。


段々、惨めになってきて、振り解こうとする私の手を、更に力を咥えて握った

『痛いっ…』

『そりゃ、こんなに冷てーんだから当然だろ。冷え性のくせに何やってんだよ…』


見ていられなくなり顔を背けたにも関係なく、真っ直ぐ向けられた視線が痛かった。
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