切なさに似て…
「よしっ、焼鳥にすっか?」

急に大声を上げた信浩の表情が、やけに生き生きしていた。


「は?チャーハンは?」

「は?チャーハンは明日だ。今日は、テイクアウト、テイクアウトっ。大将に電話かけろよ」

テンポよく言葉を紡ぎ、声のトーンをがらりと変えた信浩はポケットから携帯を取り出すと、目をきょとんとする私に押し付ける。


「“トリタロウ”に?」

聞き返した私に、もちろん。と、口角を上げた。


「それって…、手抜きじゃないの?何それっ。面倒臭くて作りたくないだけでしょ!」

「いいじゃねーかよ、しばらく行ってなかったし。つべこべ言ってないで電話」

ほら、早く。と、顎を突き出して電話を促す。


「つべこべ言ってませんー。はいはい、わかりました。かければいいんでしょ」

「言ってるじゃねーかよ」

憎たらしいっ!そう付けたし、私は仕方なしに2人が行きつけの焼き鳥屋さん“トリタロウ”に電話をかける。

しめしめと、含み笑いを浮かべた信浩の横顔をきつく睨んでやった。
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